比べるのは可哀想か

中国人を怒らせたとかいうエロゲ。まあ、ネタだろうが。


だが、本当に怒らせたのであれば、それはそれなりに非はあるんじゃないかと。


日本には、『行殺♥新選組』というエロゲがある。作ったのはもちろん、ライアーソフトだ。日本人の心を体現する新撰組を美少女に置き換えて、エロシーンを描いてしまったエロゲである。
ただ、一つ言えることは、この『行殺♥新選組』は、非常に真面目な作品なのだ。この作品は、製作者ですら懸念していた新撰組ファンの感情を、見事に受け止めた作品なのだ。プレイして思ったが、この作品は「新撰組を描いている」。それを単に設定のネタにするのではなく、歴史的人物への敬意と思い入れをもって、作品を作っている。
彼らが描いたのは、新撰組そのもの。局長で描いたのはまさに「死に様」であって、あのラストの「ドラゴンステーキ」ですら生き返るような生易しい描写をしない徹底ぶり。副長は、華々しい場面だけでなく最後に函館で散るところまで描く。カモちゃんには奔放さの裏の、他の隊員との確執を描く。ただ一人生き残ることのできる永倉。モンゴル行きという元ネタまで披露する佐乃。そして何より、『ふれっしゅ』で追加されたへーのシナリオは、まさに藤堂平助の運命を描くためのもの。
これなら、「怒られる」余地など無い。


で、先の『恋姫†無双〜ドキッ★乙女だらけの三国志演義〜 』。
これが、「三国志」ファンをうならせるだけの作品になるのだろうか?中身を見ないと何とも言えないが*1、それは難しいような気がする。
要は、歴史上の人物を使うこと自体が問題なのではなく、それに対する姿勢なのだ。「歴史」というのは、他人と共有するもの。「社会」や「政治」、「法」といったものと似た位置にある。一人の人間が茶化すことが、「個人」のレベルに収まらない。それは「共有物」であるからだ。

*1:『行殺』のあのOP曲「見つめて♥新選組」を聞いた段階で、こんな真面目な作品だと誰が予想できただろうか…。