夢を現実にするということ

連 だからねぇ、マジメな話「らくえん」作ってて何が一番ツラかったって、現実の方が絶対おもしろい。おもしろいんだけど、まさか書くワケにいかないってコト。各方面への配慮ももちろんあるんだけど、むしろ現実を書いちゃったら笑えない。いや、笑える人も多いと思うけど……。それに現実をそのまま書いたら、逆にリアリティがなくなっちゃうよ。バランスというか落としどころがね、けっこう最後まで悩んでました。
 〜月面基地前オフィシャルサイト 「らくえん シリーズ・証言第1回」より〜

たまに、フィクションを越えてしまう現実ってのが、ある。今日の、夏の高校野球決勝、駒大苫小牧早実戦は、まさにそういう素晴らしい戦いだった。


特に、早実の斉藤投手の最後の投球は、震えが来た。
終盤、表情にも疲れが見え、球速も若干落ちてきた。それでも彼は、最後の打者…駒大苫小牧の4番に、最後の渾身の力を振り絞って投げ込む。既に170球以上を投げているにもかかわらず、この日最速の140キロ台後半を連発。それでも僅かに外れノースリーとなって…それからが真骨頂だった。アウトローに、最速のストレートを2球。そして最後は、インローの素晴らしいコースへ高速フォーク。
人生、力を発揮すべき瞬間というのは確かにある。それが到来した時、力を出せるかどうか…は運ではなく、その人の努力によって決まる。これまで、何万球と投げ込んできたストレート。それを、「この瞬間」をイメージして行ってきたか。彼は、「この瞬間」に、これまで練習で固めてきた投球フォームをトレースし、渾身の力を込める。それが、斉藤投手の、最後の3球だったのではないだろうか。
これから、彼がプロへ行くのか、プロで活躍することが出来るのかはわからない。でも、私より10歳下の彼が、その段階で、「それ」を実践してみせたことは、彼の人生にとって、間違いなくプラスとなるだろう。