『Imitation Lover』(light)レビューUP

そんなわけで、『Imitation Lover』レビューをアップロード。
まずお詫びしなければならないのは、レイアウトは結局の所、元の形にほとんど戻しました。m(_ _)m いや、書き始める前から、この作品はあのシンプルスタイルでは書けねえな、と。
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評価はA+(傑作)。「私に非常に合っていた」作品だということは特筆しておきます。どうも、私は地球人側だったようです。
それでもS(名作)評価を与えなかったのは、幾つか気になった点があったからです。以下、レビューには書かなかったマイナスポイント。
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以下、私が読んだ中での疑問ですので、氷解すれば評価はもっと上がるかも。
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○ 響エンドの最後で、響が樹に「好き」と言う意味
この作品、響は、樹に対して、最後(プール)まで特段の…それこそ円香や伊織の抱くような「恋愛感情」を抱いていないはず。あの場面は、樹が真相を知っても響を求め、響はそこで初めて(ここ重要)樹を受け入れた場面なはず。あそこが「スタート」です。
だからこそ、あそこから花火大会の場での「好き」へ至るには、普通の恋人が出会って結ばれるまでの過程、それが一から必要なのではないでしょうか。そう考えると、あの一ヶ月間は「すっ飛ばしすぎ」なのではないでしょうか…。あそこで、「好き」という必要はあったのか。あそこで響は樹を「好き」だったのか、聞けるなら、ライターの見解を聞きたいところです。
それ以前に二回振った段階では、樹自身を求めていないはず。あれは、素で振っているのでは…ないの?
そういう意味で、同じく円香エンドの展開もやや疑問。響が、樹のことをずっと好きだったという描写が、響シナリオには無い…と読んだのは私だけですか?いや、別に響は樹を嫌ってはいませんが、「けっこう好き」レベル=熱烈な恋愛感情ではないと思うのです…。そういうレベルでの「譲った」なのかなあ…。響シナリオと円香シナリオは文調が変わったので別ライターだと思うのですが、肝心なところで整合性取れてなくないでしょうか?響が樹のことをずっと想っていた…というのはメルヘンのような気が。響は、樹の長所を体以外には挙げていないのでは?
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いや〜、よく出来ていた作品だと思うんですよ。書き込みはなかなか。
「面白い女」という尚也の考え方に至った点は、私的にメタゲーとしてはほぼ満点。だけど、もうワンパンチ足りなかった作品だとも思うんです。
この作品のヒロイン…特に一之瀬響はイイ女だったけど、「面白い女」という私の理想のヒロイン像へ至るには、何かが足りなかった。それはおそらく…「子供が産めない」という、彼女が抱える根本的な問題自体なのではないか。私は女性でないので彼女の絶望はなかなか理解できないのだけど、それでも、「外的要因」(正確に言うとそうではないかもしれないが)を持ってきたところに、何か物足りなさを感じるのかもしれぬ。あとは…「絶対に中出ししない男」尚也との整合性か。
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今作に似ていると思った作品は多くて、プレイヤーが読み込んでいかなくてはならないスタイルと円香の存在が『School Days』に、プレイヤーの第三者視点と登場人物の主観の組み合わせ方は『CARNIVAL』に、そしてメタゲーとしての在り方は『天使のいない12月』に*1
私の中で評価の高い作品の長所を随所に取り入れながら…その分、「この作品自体」の部分がやや埋没したのか。この作品に何より必要だったのは、「面白い女」を描き切ること…だったのかも。それが一番難しいのだけど。

*1:メタゲーとしては、これより上だったかも。