そんなに難しいモノでもないらしい

実〜に久しぶりに文庫本を買いました。
蝿の王(新潮文庫:ウイリアムゴールディング)
この作品を読もうと思ったきっかけは、いくつかのエロゲ評にこの作品の名前が出てきたから。新宿漂流(『Forest』)はさておき、『SWAN SONG』はほとんど同じテーマの作品だろう。
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正直な感想。これでノーベル賞を取れるの?
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アマモリの本棚にあったお話と聞いていたので、読み終えるまでは古典的なそれこそ寓話的作品だと思っていた。読後感としても「なるほどねえ」くらいにしか思わなかったのだが、まさか…ノーベル賞を受賞している作品だとは思わなかった。しかも、1983年受賞なんて、そんなにべらぼうに昔の話じゃない。
そりゃ、私は英語圏の人間じゃないし、読んだのは邦訳なので、文学的な部分はそのまま捉えられていない部分があるだろう。でも、それにしても、この程度の内容で?
この作品は、灰流(『Forest』)が言うように寓話でありパロディだ。私の正直な読後感としては「物語」の域に達しているようには思えなかった。
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と言うより、20年以上のハンディキャップがあるとはいえ、単純に『SWAN SONG』の方がずっと上だろう。
無人島」「子供達だけ」というシチュエーションと『SWAN SONG』の置かれたシチュエーションは比べ物にならないし、対立の構図もまた『SWAN SONG』の方が遥かに根源的だ。BADルート(?)の全員が狂っていく様もさることながら、それと対比させたNORMALルートの「存在自体」がまたそれを皮肉的に際立たせている。
逆に『SWAN SONG』は、ここまで描くと、陽の当たるところに来るべき作品だとも思えないのだけれども。