コンシューマを完全に卒業してしまった身としては

『Fate/stay night』がPS2に移植決定だとか。予想はされていたことだとはいえ、「そうなってしまったか」という印象の方が強いかも…。
以下、角川がどーいう風に作るツモリなのか、私がまったく知らない前提でどうぞ。
 :
第一部『Fate』と、第二部『Unlimited Blade Works』は、ほとんど手を加えずに全年齢対象化できるだろう。むしろこの二つのシナリオは、エロが邪魔しているくらいだと思う。
だけど…第三部『Heavens Feel』、これを全年齢対象に出来るのかい?
第三部を全く抜きにしても、たぶん、製品としては成り立つだろう。ボリューム的にも充分ではないか。実際、この作品の世間的高評価のかなりの部分は、第一部・第二部によるところが大きいはずだ。でも、私は、第三部を抜いたら、この作品は一挙に締まらなくなるのではないかと思う。第二部の衛宮士郎の行動を…いい意味でも悪い意味でも裏付けするシナリオだと思うからだ。それは確かに…『hollow』でも補完されているのだけど、まさか第三部を抜いて『hollow』を入れるってワケにもいかないだろう。
じゃあ、無難に、第三部からエロ要素を抜いて入れるのか?…それでは、第三部そのものが骨抜きになるのではないか。第三部は、プレイヤーに嫌悪感すら与えるシナリオで、それが持ち味だと思うのだ。第一部・第二部で描かれる、セイバー・士郎・凛という「強い存在」とは一線を画す桜というヒロインの存在は、これ自体が、「強い存在」の裏付けとなっているのではないか。彼らに「卑近さ」が必要ないのは、桜がそれを一手に引き受けていたからではないか。桜の抱える嫉妬・失われた純潔といった要素を抜きに、「強い存在」が無条件に受け入れられるのだろうか?
だがおそらく…そうなるだろう。実際、TYPE-MOONは『hollow』で第三部無視をやってしまっている。『hollow』は作中の展開で別個に第二部等をフォローしているが、それすらも無くなるのだからなあ。
 :
まあ、こう言ってはナンだが、所詮はコンシューマだ。そこまで人間性が求められている分野でもないんだろう。セイバーや凛やイリヤに萌えてさえいれば、たぶんそれで満足されるんだろう。いや、それ以前に、角川はそこまで作品性なんて考えてないか。
 :
逆に、↓にも書いたのだが、エロゲーのシナリオには、そこで、一段階違うレベルを期待したいと思う。エロ・暴力・悪意といった代物は、その生々しさゆえに「普通じゃない」描写が可能になると思う。それを学生主体のコンシューマ市場に持っていく必要はないが、いちおうはその一歩上の世代を対象としている(と思われる)エロゲーだからこそ、それを期待したい。
私はたまに思うのだが、萌えゲーって、エロゲーにする必要があるんだろうか?