商売を手掛ける人間として

思えばこのサイトの今年の正月は、掲示板への荒らし書き込みから始まった。なんとも泣ける話だが、なんで1月1日に荒らそうと思ったのか謎。最近はめっきり減ったが、これまでに何度か、論拠の無い悪口をいただいたことがある。論拠であればどーにかして相手にギャフンと言わせたくなるのだが(笑)、悪口はそれも叶わない。
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さて、昔(学生時代)の私は、自分の意見と異なる人を「説得しよう」とは思わなかっただろうし、ましてや単なる悪口に対して「如何に穏便に相手をやりこめるか」なんて考えなかったのではないか。
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学生生活と社会人生活の違いについてはいろんな人がいろんなコトを言っているが、こと人間関係に関しては、「学生は好きな相手とだけ付き合っていればよいが、社会人はそうはいかない」という一言が、最も端的にそれを表していたような気がする。
学生時代の同級生数百人のうち、私が親身になって付き合ったのはせいぜい十人くらいだろうか?あとはお互いに「無視」。それでよかった。だって、卒業したら彼らと再び出会う確率は低いし、別にそんな彼らと何か共同作業をする必要もなかったのだから。
でも、会社生活はそうはいかない。まず、我々採用減世代は同年齢=同列の奴がいることはまずなく、ほとんどが年上、下手をすると親父よりも上の人達。立場ももちろん違う。年上なのに立場が同じ人間というビミョーな関係も存在する。こうした、人事政策により一同に集められた人間達とコミュニケーションを取り、共同作業を行なっていかなくてはならない。
コミュニケーションの不備は、その共同作業を行なっていく足枷となるだけではない。「コミュニケーションが取れるかどうか」も、公式非公式に「評価」の一例となってゆく。
また、コミュニケーションは社内の人間だけではない。「お客様」という存在とも付き合っていかなくてはならない。しかもこれは、ただただ親睦を深めるだけでは意味が無い。「モノ売ってナンボ」なのだ。この、一つのクレームが企業活動に深刻なダメージを与えるハイリスクな時代に。
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「無視する」「相手は相手と割り切る」ことは、社会人生活において基本的に許されない。どんな相手ともコミュニケーションを取り、正の人間関係を構築できるのが、優れたサラリーマンの姿なのだ。
「あなたのところの製品はデザインが気に入らないから買わないわ」「お前の会社なんか糞だよ、糞」という「お客様」に対し、それを無視して無かったことに出来るのはアルバイトまでの話だ。
自分の製品に自信があるなら、それを説明する必要がある。そして、相手を納得させるのが理想だ。憤懣たるクレームを持つ人をなだめ、説明し、非は上手く認め、なんとか手ぶらで(ここ重要)お帰りいただくのが、理想なのだ。
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さて、サイト運営に話を戻そう。
私は基本的に、どんな書き込みでも削除を行うつもりはない。そんな「無視」が通じるのは学生時代の話だ。まあ、ネットでどーしようともそんな私の「本職」に影響はないのだが、むしろ、そんな本職の「シュミレーション」として、こうした対応は使えないこともない。
「クレーム対応」は、サラリーマンの数ある職種の中でも最悪に近い仕事だ(涙)。だけどそれを、こんなところで試行できる。リスクほとんど無しで。
サイトへの書き込みという形での対応については、実はサイト主の方が圧倒的に立場が有利だ。今やほとんどの掲示板・レスでIPアドレスを検索できる以上、アクセス解析を人並みに貼っていれば、何処に住んでいる何処から来た奴で、何度目にここを訪れたかも検索できる。次に訪れてすごすご帰っていったこともわかる。そんな有利な立場なのだから。まさに「ホーム」の利。
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客対応で、最初に怒鳴り込んできた人に最後に「ありがとう」と言わせるのは快感。もっとも気苦労の方が大きいけど(笑)。
サイト運営の場合は、私が仕事は仕事と割り切っている感のある本職と違って、「自分が本当に正しいと思うモノ」をかけての論争だ。だから、意見の対立が解けた時の快感は、実は本職よりも上。逆に失敗した時のヘコミ感も大きいけど…。
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一番マズいと思うのは、意見の対立に真正面から向き合ってしまうことだ。
コレは私がよくやる手段だが(成功するとは限らない)、最初にさっと矛先をずらしてみる。まずは、「はじめまして」「こんにちわ」の一言を書き込んでみる。それだけで、随分と違うと思う。「相手も、自分も、人間である」ことを意識させる。相手の無礼な振る舞いを封じ込める意味もある。第三者から見れば、成否はともかくどっちが「野蛮」かが一目でわかるようになるから。
特に悪口・クレームの場合は、謝罪を求めないこと。一回ボロクソに言った相手に謝ることのできる心の広い人間はそういないし、先のアクセス解析をチェックして「黙って帰った」ことが確認できたらそれはもうこっちの勝ちだと納得するのが吉。
まあ、私は結構なあなあな人間なので(笑)、決着がつかなくても和解的な結論を選ぶことも多い。ズバっと意見をシャットアウトできる一言が言えればそれもまた良し。
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まあ、かといって、荒らさないでね(笑)。
でも、反論は構いませんよ。それは「荒らし」とは別物です。もっともそんなワケで、多くの場合、私はどのようにその価値観を見い出してるかについて「説得」をすることになりますけどね(笑)。