(4)提言

ここでは、MP3プレイヤーとPCゲーによる著作物複製の変容について報告した。また、PCゲー内データの著作権法第三十条二の除外要件の是非を検討した。第三十条2による補償の問題点についても検討した。
結論としては、文化的所産の利用の促進という著作権法の目的を図るため、第三十条二の除外要件には該当しないことと同時に、第三十条2を維持するのであれば中小ゲーム会社への適切な対価の配布が必要であると結論付けた。
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現行の補償金制度は、PCゲーを初めとする補償されるべきメディア媒体の多様化により、全ての対象を網羅できなくなってきている。そして、指定管理団体と現状との齟齬は、今後も更に拡大してゆくと考えられる。
よってここで、現行の補償金制度の維持を断念し、業界の価格転嫁路線への再転向を提言したい。これは文化的保護の概念に逆行する考え方ではない。現状、既にMDやCD−Rには私的録音録画補償金が課金されており、消費者の負担は既に変わらないものとなっている。
むしろ、補償金制度の撤廃は、価格転嫁戦略の容易な大手企業への適用の影響はさほど大きくないと考える。かえって中小の製作者にとってこそ、価格転嫁は困難であるだろう。少なくとも、著作物の多様化によって補償金の正当な分配がほぼ不可能になり、実際に彼らへの配分が為されていない現状を考えれば、妥当な結論ではないだろうか。