通行人Aさんへのレスと同時にnatu3kanさんへもレス

hollow』は、基本的に、「面白かった」以外の褒め方が無い作品だと思うんです。なので、マイナスに評す方に圧倒的有利ではないでしょうか。以下、決して褒めてません。
 :
>竹箒日記
今日の日記のことを言っているのでしたら、私にとってはNGワードでしかないですなあ…。

まるっきりフォレストだな!

おいおい(苦笑)。
なにせ私だから断言しますけど、『Forest』は空想を空想として描く私の知る限り唯一のエロゲーで、転じてあの作品ほど現実的なエロゲは他にないですよ。それを『hollow』と比べて貰っちゃ困る(誰がって私が)。
製作者として[森]や[リドル]の描写に眼が行くのはわからなくもないですけど…。この人、『Forest』のラストシーンをホントに見たんだろうか…。ま、「Heavens Feel」を全て無かった事にした人には無理か…。
 :
>「後日談。」
流石に、最後の最後をきのこ氏が書かないはずはないでしょう。
あれでこの物語は、「振り出しに戻る」じゃないですか。やろうと思えば、バゼットを加えてもう一つFDを作れます。それが…きのこ氏の本意なんでしょうか…。もしそうなら、アンリマユのあのシーンと概念矛盾するじゃないですか*1。そういう意味で私はアレが蛇足だと思います。
きのこ氏は、TYPE-MOONの主要人物である…と思うんですよね。少なくとも、他のライターに書かせた部分であっても、最終的な編集権は彼になかったんでしょうか?竹箒日記を読むと…なんだかあんまり他のライター部分に手を加えてないっぽい。だからこんな構成になったのでしょうか。
 :
この作品は、もともと、「Heavens Feel」を無視してます。私はそれなりにこのシナリオが好きなので不満なのです*2
で、それを抜きにした「ドリーム」を描くなら、それはそれでいい…というか割り切るべきだったのではないでしょうか。元から歪んだ世界なのですから*3。それを、この作品は変にバランスを取ろうとしている*4ように見えたんですね。
私はこの作品をプレイしていて、無視されていたはずの「Heavens Feel」がプレイしたくなりました。それは、このファンディスクにとってはマイナスの評価でしかないですよね?そこまで、つまり「Heavens Feel」の逆説的な賞賛を意図して作っていたのなら凄いですけど。
 :
>舞台裏・バックボーン
私の今の感想を言えば、この『hollow』に関しては、それを見せる必要がなかったんじゃないかと。アレでああいう観点に気付くなってのは無理です。
本編が完成された物語であった以上、続けるのに「歪み」を生じることはFDである限り「暗黙の了解」で、そこにあえて光を当てる必要はなかったんじゃないでしょうか。
 :
でも、舞台裏とかバックボーンって、抜きには語れないと思うんですよね。無視するなら何があろうと見ないフリをする意志が、あるいは自己解釈を他者のどーこうに左右されない傲慢さが必要かと。
特にエロゲは商業的な意図が絶対に絡むので、私の場合、「コレを描いておけば売れるだろう」みたいな意図を感じたらもうダメです。逆に、「俺はコレを描きたいんだ」というのが伝わってくれば、それだけで加点します。
昨日、『ぼくのたいせつなもの』という作中の短編について感想を書きました。これがその二つの極致の作品です。『らくえん』という作品の色と、もう一つある作中エロゲ『あいかわらずなぼく。』との比較。それを見てしまったら、まず『ぼくたい』に泣いた人は、たぶん、怒るんじゃないかと思うんですね…。
hollow』のバックボーンは、かえって舞台の歪みを強調して水を差したような気がします。しかも最後の舞台挨拶で、監督は歪みを全く無視したコメントを残しているワケですから…。
あと重要なことは、歪みを生じさせてまで彼らが描こうとしたモノが、私にはイマイチだったという根本ですね(汗)。あれくらいの日常シーンは…腐るほどあると思うんだよなあ…。

*1:概念対概念の戦いは破綻した方が負けと言ったのは誰だったかな〜(笑)。

*2:このシナリオの桜は、頑ななまでに下世話に・卑近に描かれる。それは、高潔さを貫いた第二部の士郎の姿や、最後まで善悪のバランスを崩さない「強い」凛の存在があるからこその描写であり、同時に両者は並立しない存在だ。だから、「Heavens Feel」の「続編」を描くなんてありえない。絶対不可能。だから、それはそれでしょうがないとも思う。ただ、あの「浅ましさ」をあえて抜きにされた桜というキャラクターの描写は逆に可哀想だ。特に、凛の出番をわざと抑えて描かれたところが、また哀れ…。いっそのこと「出番なし」の方が、桜というキャラクターには良かったのではないか。

*3:歪んだ方が美しく見える場合もあります。

*4:もしアンリマユのあの展開が無かったら、終わったはずの聖杯戦争が何気なく続いていったことに対する不満を誰かが書いたと思うんですよね。…それは他でもない私のような気がしますが(笑)。この作品は、それに対する「反論」を前もってわざわざ用意したように見えました。