アイスの後にカレーパン AM12:00

群青の空を越えて』(light)中間感想です。
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若菜シナリオは正直言ってダメダメだったんで、「あーこんなんで終わるのかなー」と思っていたら、続く加奈子シナリオでは随分とマシになりました。まだ変な点はゼロではないですが。
あと、若菜シナリオのように空戦で終わらないところが良くなりましたね。これなら、この作品に対するあの評価もまだ「理解」できます。
何せ↓の文章を書くまで徹夜、その後九時に目が覚めて、今までずっとですからね。それだけ、「読ませる」文章力はあるんですよ。
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やっと、私が今作に対して当初考えていた「"設定"という要素がどれだけエロゲにとって重要であるか」ってことを書けると思います。
以下ネタバレあり。
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この加奈子シナリオは、「どう読むべき」だと思いますか?
先に書いた通り、何か一気に読ませてしまう要素はあるんです。
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ですがねえ…「考えたら」もうダメなんですよ、この作品。
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私は、このシナリオの展開は、真面目に考えるなら、皮肉としか思えなかったです。反面的な反戦のメッセージにすら思えるくらいです。この展開、「戦争の馬鹿馬鹿しさ」を描いている…のかと誤解するくらいです。
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そう、「誤解」なんです。
この作品は、作者の意図として、どう考えても反戦のメッセージじゃないでしょう。そういう意図があるヒトは、詰まるところ兵器である戦闘機を美しく描けないはずです。別に兵器が人を殺すワケではありませんが、「感情的に」その本来の目的を肯定できないはずなんです。このライターが「戦争を肯定している」とは言わないまでも、「兵器を否定していない」以上、「戦争を否定している」とは思えないのです。少なくとも、それはこの作品のテーマじゃない。
おそらく、このライターの意図は、よくある特殊シチュエーションものと同じように、特殊状況下でも人の生き様を描いているに過ぎないのでしょう。ですがそこには、やっぱり何らかの「方向性」は持つべきだと思うんですよ。
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「この作品はフィクションだからいいじゃないか」という意見はごもっともです。
でもそれは、「フィクションであること」の明確な自覚が得られればの話。正直、この作品評にはソレを感じないのが、最も懸念するところです。
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この作品には、大事なモノが抜けています。この一節を、タイトルの前に挟むべきだったでしょう。

この作品はフィクションです。登場する地名・団体・人物等は全て架空のもので、実在のものとは一切関係ありません。
当作品には、性的な描写および、実際に行なうと戦争犯罪となる行為が含まれておりますので、18歳未満の方のプレイはご遠慮願います。

シャレじゃなく、そういう作品なんですよ。
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私がこのシナリオから思ったことはただ一つ。「戦争はしてはならない」という当たり前の結論でした。繰り返しますけど、それは、ライターがこのシナリオで「描きたかったコト」ではないです。「作者が描きたかったコト」を素直に読み取れば読み取るほど、この作品は「誤った前提」に行き着くような気がします。
私はこのシナリオにおいて、あの状況に生きる各人の思いとか信念を味わう以前に、「あの状況へ至ってはならない」ことが何より大事なんだと、それだけしか感じませんでした