アワード補足

上期の作品中に『sense off』を含めました。
まだレビューを書いてないのですが、この場で簡単に下書き。
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以後、ちょっと批判的な文章に見えるかもしれませんが、決して悪い作品じゃありませんので、誤解のないよう。
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「感覚的」な作品だなあ…という印象が強いです。
この『sense off』は、ライターの意図が作品の根本なのですよ。「背景」としてではなく、本筋です。だから、それを読み取ろうとしないと何が何やらワカランまま終わるに決まってます。
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全てはエンディングテーマ「birthday eve」です。
この演出は好きですよ。
ですが私の感想としては、「もう一歩踏み込んで欲しかった」コレです。
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成瀬は、主人公と彼女は「結婚する」と言い切りますよね?つまり、この作品の最終的な結末はコレなんです。だって、彼女の未来視は絶対ですから。
一方で、この作品で最もヒロインの座に相応しいのは誰ですか?そう、美凪です。彼女は、少なくとも珠季や透子、慧子とは同じレベルではないはずなのです。
また、傍流であるはずの珠季シナリオで、「世界」について随分と印象的な表現をしていることに注目。これは透子のシナリオでも補完されてますが、それを認めてしまったら、成瀬や美凪の存在の意味を失わせることになるんじゃないですか?
成瀬シナリオは「未来」を視せます。椎子シナリオでは「過去」が描かれます。私は最も正統な「現代」シナリオであるはずの美凪とこれらが同一性を持つのか(つまり、この三者は本質的に同一なのかと)と考えたこともありました。でも、最後に慧子シナリオが在ったことで、そうではなく、これらのシナリオは「平行」であったと示された…ような気がします。
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何が言いたいかというと、この作品には意外と「救いが無い」ような気がするのです。
この構成の持つ並行性は、全てのヒロインに並行的な結末を与えます。こういうエロゲはたくさんあります。ですがこの作品は、一つのシナリオを一つの「世界」として捉え、かつ「認識により世界は変わり得る」と表現します。私には、これにより、成瀬が迎えるはずだった「未来」も、椎子の歩んできたはずの「過去」も、美凪の持つ「宿命」も、全てが「変わり得る」と言われてしまったような気がするのです。
私の意見としては、この作品にはトゥルーエンドが欲しかったと思います。ズバリ、「誕生日のeve」(birthday eve)、これを描いて欲しかった。
中間感想までは、てっきり最終シナリオはそうなるんだと思っていたことが伺えるかと。全てのヒロインを生かそうとして、全てのヒロインを(ある意味)否定してしまったんじゃなかろうか…という気がしたのです。
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私、まだ一回ずつしかこの作品をプレイしていません。
メモを取って調べていけばもっと異なる結論に近づくかもしれません。
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エロのあまりの存在意義の無さには驚きました。(文句ではありませんが)
とはいえ、次に『未来へキスを』という作品を書いていることから、そっちをプレイしてからその辺は書いた方がいいのかもしれません。