リハビリ

しばらくエロゲをやってなかったので、積みゲーのうちで何から手を付けようかと思って…『モエカす』(ケロQ)にしました。
一日でコンプ・レビューUPです。(22:00この日記もリライト)
 :
昨日掲示板「大激論の世界」で書いたこととは全然逆のことを書こうかと思います(汗)。
誤解を恐れずに言ってしまえば、私みたいにレビューを書く人でも、頭から文章を書いていって最後にその文章を読み返して「この作品が面白かったのか」を判断しているとは限りません。むしろその逆で、作品本体の「印象」が先にあって、それが良かったのか悪かったのか、それを突き詰めてゆくのが文章化です。なので、必然的に、異なる作品のレビュー間のその過程自体には矛盾が生じます。そうに決まってます。似たようなことをやってる作品でも、「印象」が違うと、書き方は真逆になりえます。そこは勘弁してください。
 :
この『モエカす』について、私の『Fate』評と同じコトに対して対象的な書き方をします。
 :
モエかん』っていう作品は、見事なまでに「未完成」な作品です。作品背景に膨大な設定と伏線を持ってますが、回収する気はありません。シナリオは、わざと、物語を全て語らないまま幕を閉じてます。
それを製作者自らが補足するのが、この「Route of Kirishima」です(もっとも、このシナリオにおいてさえも全てを語ってはいないのですが)。
一度発売した作品が完結してなくて、それをもう一度定価8190円(特装版)の新作として売り出すのですから、商業モラル的にはトンデモないコトだとも言えます。ケロQはこの前に『モエてん』も出してますし。
ですが私は、ケロQのこの姿勢にあまり嫌悪感は感じなかったのですよ。
 :
その理由を考えるなら、『モエかん』という作品自体が、そこまで強烈な物語性を持っていないという点があるかと思います。全てを語っていないこととはまた別に、この作品の「シナリオ性」は、それほど特筆すべきモノでもないんです。ですので、逆に、その物語性が続編により侵害されても、かえって失われる部分がありません。
 :
また、もう一つ、彼らの異なる点は、アナザーストーリー自体を、ケロQ自身が作っているという点でしょうか。この『モエかん』『モエカす』の世界観は、ケロQの人でないとわからないはずです。VFBは発売されてますが、あれだけで続編を思い描けるかというと、ちょっと難しいのでは?ケロQは、他でもない製作者自身の自己満足のために、作品を作っているような気がします。私は、このブランドこそ、商業エロゲブランドで最も「同人的」だと思ってます。彼らは、自分達の作ったキャラクターを自分達で膨らませ、自分達で書いてそれを片手間に世間に出しているような気がしてなりません。これって…同人作家と何も変わりませんよね…。
ただケロQは、その分「自由」です。例えば「Route of Kirishima」にはエロシーンがありません。もともと『モエかん』本編の正規ルートにもエロシーンが無かったりします。その一方で、ケロQは『モエかん』本編で、ヒロインへの陵辱シーンすら自分達で作ってしまう徹底ぶり。彼らは、自分達の作品を他者に二次創作させようなんて思ってないでしょう。彼らは自分達の生み出したキャラクターを自分で愛でています(つまりオナニーですw)。私は、TYPE-MOONが同じ同人(出身)ということで、『Fate』のエロ二次創作を(渋々だとは思いますが)容認している(せざるを得ない?)点が不満なのですが、ケロQの場合、"そこまで"自分達でやってしまうのです。
 :
さて、ここまで前置きが長くなりましたが、「Route of Kirishima」、面白かったです。
このシナリオは『モエかん』本編の霧島ルートのオリジナルということでしたが、むしろ、トゥルーエンドを作ろうとしていたような印象です。むしろ、リニア(千歳)シナリオを作っていたらあまりに霧島の存在感が大きくなりすぎて、収まりがつかなくなってしまったという感じでしょうか…。
むしろ、このシナリオを読んで、『モエかん』本編が如何に中途半端で妥協したシナリオだったのかを今になって思い知りました。この作品、「誰をメインヒロインにするか」で思いっきり失敗しているのですね。リニアは私的にどうも今一つで、2004上期「アワード」のワースト主演女優にも挙げたヒロインだったのですが、このシナリオを読むと、それもしょうがなかったのかな…という気がします。
 :
流石にもう真・真・霧島ルートは作んないんだろうなあ…。
 :
この『モエカす』>『Fate』>『終ノ空』>『モエかん』という順序がポイントだと思ってください。もちろんケロQの場合、複数本の出資を強いられているマイナスポイントがコレに加わることがあります。