純愛系と陵辱系

テックジャイアン7月号に載っていたのだが、Leafは次作として初の陵辱作『鎖-くさり-』の製作を発表した。シナリオは枕流氏がそのまま書くらしい。(注:記事では、必ずしも陵辱に特化するのではなく、むしろサスペンス系になるような印象を受けた)
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思えば、最近、こうした、これまで純愛・萌え系の作品を出してきたところが陵辱色を強める動きが多いような気がする。
スタジオメビウスは今話題の『絶望』へと回帰するような『THE GOD OF DEATH』の製作を既に発表している。ぱじゃまそふとですら、ぷちぱじゃまブランドで『パペットプリンセス』を作る。ageだって、『オルタ』が終わればmirage名義で『携帯モノ(仮)』を再開するだろう。
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昨年が、『CLANNAD』『ToHeart2』に代表されるように、エロゲメーカーが非エロの方向に向かった年であったとしたら、今年の下期はそれとは正反対になるのかもしれない。
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いったい、どうしてこんなことになったのか。
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ある意味、これは純愛化の反動なんだろう。「綺麗な恋愛」を描く場合、意外とエロは使いにくい。エロってウエットなモノだから、爽やかには絶対出来ないし。
そしてそれを逆に言うなら、それだけ 純愛・萌え系のエロゲが行き詰ってきたということだ 。
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ここ数年、このテのエロゲは主流を極めてきた。新規ブランドも、数多くが「恋愛」を軸にしている。ともなると、そこで差別化を図るのがもはや困難になってきているのだろう。
陵辱系という世界は、意外とと言ってはナンだが奥が深い。なにせ過激すぎるのは人を選ぶという理由(もちろんそれ以外にもあるんだろうけど)から意外と世の中に出てこないので、その「壁」を乗り越えるコトであっさりと突っ張った作品を作れる。
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むしろ陵辱系作品を作る際の難しさは、「プレイヤーの側の嗜好の分岐」だろう。これは、純愛系よりもずっと複雑のような気がする。
抜きゲって、シーンの何かの拍子でホントに「効き目」が変わる。たった一つのセリフで、いきなり個人的名シーンに昇格したりする。そしてソレはホントに人それぞれだから性質が悪い。
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「純愛エロゲブランドの描写力は、陵辱シチュエーションにも発揮されるか」という点は、今後のエロゲ界の行方を占う上で大きな岐路となろう。だって、「陵辱を描ける」ということは、「純愛を描く」上でマイナスになることはないだろうから。逆もまた然り。そして将来的に、「描けるが描かない」という選択肢を結果的に選んだとしても、それはそれでイイし、そのブランドの「奥行き」に繋がると思う。
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今のところ、今年上期の世間的な最大の話題作は『School Days』のような気がするが、この、フルアニメーションを謳ったスペック的超大作があんなヘンな作品になったのは、ある意味、今年を象徴しているとも言える。「純愛作品への飽和感」という意味で。