プレイする気も無い作品について書く

私はあまのじゃくな人間なので、周りがけなすモノはフォローしたくなるんだよなあ…。『天使ノ二挺拳銃』(Nitro+)について。
まず、私自身はこの作品をプレイしていないし、これからする気もないことを前述しておきます。
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ニトロは言わずと知れた、エロゲ界で最も成功したブランドの一つ。だから、ニトロのファンというのは実に数が多い。で、ニトロと言えば…デビュー作『Phantom』の印象通り、「燃え」を基調とした作品で有名です。
そんな彼らの過去の作品の中で、『沙耶の唄』が異色であることに異論はないでしょう。レビューでも書きましたが、「売れたブランドだからこそ作れた異色作」だと思います。この作品はニトロファンの中でも、それなりに受け入れられたようです。もちろん、「異端作」としてですが。
この作品、私の印象としては、人が言うほど変わった作品だとは思ってません。グロ表現などはたしかに「奇抜」ですが、それを忘れてしまえば、作品自体の中身は実にありふれたモノだと思います(褒めてません)。実際、この作品の終盤のシーンは、結局、バトルになります。言わば、「結局いつものニトロ作品」なワケです。だからこそ…いつものニトロファンにも受け入れられたのではないかと思ってます。
そのニトロが、同じ基調で製作した『天使ノ二挺拳銃』。今のところの評判ですが、「今一つ」という流れなんでしょうか?少なくとも、いつもの「燃え」を期待してたプレイヤーには不評のようです。
でもそれを、「ニトロらしくない」って言うのはどうなんですかね?
言ってみれば、「この作品に燃えが無いことなど、作品紹介を見れば当然だし、むしろ在るべきではない」と思うのは私だけでしょうか?繰り返しますが、私は『沙耶の唄』の「燃え」要素はまったく不要だったと思う一人です。
私のレビューで、「製作者」って立場を考えることがままあります。『らくえん』や『パティにゃん』では褒めてますし、『AngelBullet』や『君望』ではマイナス評価しました。クリエイティビティ色の強いこの業界のことを考えると、私の場合「作っている人の姿勢」って気になるんですよ。惰性を感じる作品はやはり印象が悪いですし、作っている人が何かを考えて何かを目指した作品ってのは、その結果がどうであれ、とりあえずその姿勢だけは評価したいと思っているのですよ。
この『天使ノ二挺拳銃』って作品、もし本当に本気で「こういう作品を作りたかった」のなら、ニトロのその姿勢は評価すべきだと思ってます。私の言う「こういう作品」とは、「人の命を見つめる、スピリチュアルアドベンチャーゲーム」の名に恥じない、生と死を正面から捉えた作品という意味です。(このあらすじで、それ以外のテーマになりようがないはず。)
もちろん、この作品自体がユーザーに評価されるかはまた別。でも、「いつものニトロの作品と違うからダメ」ってのは、プレイヤー側としてどうなんですかね?作品紹介を見れば、「いつも」の作品ではないことくらい、すぐにわかると思いますし、それを踏まえて購入に走るべきだと思うんですが…。
期待するのも要望するのも自由なんですが、それで製作者の行く手を遮ってしまうのは、彼らにとっては不幸なことなのではないでしょうか?
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とはいえ、ここまで書いてナンですが、ニトロはそれほどこの作品を真面目に作ってません。詳しくはhttp://d.hatena.ne.jp/judge/20041213#p1を。
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ま、今回のプチ騒動を見て、ちょっと自己反省した部分もあります。『AngelBullet』のレビューで私が書いたことも、また同じことなのかな、と。この作品、結局のところ、ライアーの客層を広げるのにかなり貢献しているような気がします。『Forest』はお世辞にも他人に素直に勧められる作品ではありませんし、ああいう特異性がイイというのは、いろいろな意味で様々な経験が必要なのでしょう。
(注:とはいえ、私の中でこの作品が「軽すぎる」ことは紛れもない事実です。とりあえずここは主観的感想の場なので、このままにしておきたいと思います。)
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まとめると、「人気が出るということは難しい」ということに尽きると思います。万人が求めることに全て応えることは不可能ですし、「客層」に合わせて作品を作ることを求められるコトが如何に重荷であるかを示してくれたような気がします。もちろん、作品自体がプアな為の低評価ならどうしようもありませんが。
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中央東口氏は、次はニトロではなくpropellerで描くそうです。もし、彼自身に目指しているモノがあるのなら、あそこは良いブランドだと思います。