バグ論・システム論

エロゲにおける未完成度の代名詞・それがバグ。通常の社会通念では考えられない、「仕様を満たしていない」製品が世に出ていることはまさに「異常」であり、それがエロゲ界の汚点の一つであることは否定できまい。
だが、そもそもプログラムを自分のところで(少なくとも外注で)組まなければならない今の環境や、ネット接続環境の充実した今、パッチによるリペアは比較的容易であることも、まあ事実である。それを主張したら言い訳だが。
最近、やたらシステムに凝っている作品を続けてプレイした。システム自体が作品全体に大きな影響を与えている…という作品である。相当の手間と労力をシステム面に費やしていることは間違いないだろう。この二作品において、システムの意味は単なるインターフェイスの意味を超えている。しかし、その二作品に共通したこと、それは…そのシステムが「使いにくい」のである。
そして、その「使いにくさ」は、そのシステムの独自性に起因するモノではないのだ。つまり、「改良すればもっと使い易くなった」のである。
実は、システムの「高度さ・安定性」と「使い易さ」というのは別問題だ。
バグという単語から連想するエロゲメーカー…と言えば、世間的には、おそらく今でもライアーソフトなんだろう。だが、そのライアーのシステムの「使い易さ」はかなり良いということを特記しておきたい。
何せノベル以外の要素をこれでもかとつぎ込んできたメーカーなので、その「ゲーム性」の要素はバリエーションの分千差万別なんだが、肝心のノベル部分に関しては、「次の選択肢への瞬間スキップ」を早い段階から常備し、同時に「早送りスキップ」ももちろん欠かさない。そして何より気に入っているのが、『腐り姫』や『CANNONBALL』といった作品における、「エロシーン以外の場面回想モード」。
だが、同時に、『CANNONBALL』まで、ライアーはこれでもかとトンデモないバグを連発してきたのである。そもそも起動しなかった『行殺』。ムービーを入れ忘れた(未完成だった?)『腐り姫』。そして、史上最大のバグ騒動を巻き起こした『CANNONBALLインストーラ事件。デバッグやってないコトは明白であり(怒)、褒められる要素は何も無い。
でも、もちろん、バグが無ければ褒められるというモノでもないのだ。システムなんてモノは、所詮、ゲームの本質ではないのだから。しかし、システム的要素の中でも、ゲームの良し悪しに大きく関わってしまう可能性の高い要素、それが「使い易さ」なのだ。
例えばインストーラのバグというモノは、実は、最も対処し易い。インスト出来なければどうしようもないのだが、「インスト出来てしまえば何も問題は無い」から。どうしてもインスト出来ない作品は間違いなく回収されることになるし。
むしろ、「使い勝手が悪い」システムは、「何をどうやっても対処出来ない」のだ。パッチが出るワケでもなく、コンプまでずっとストレスを抱えることになる。実はこっちの方がずっと性質が悪い。
世間のIT化により技術的な言い訳が効かなくなり、同時にXPが主流OSの時代が継続している今(これ重要)、バグそのものを発生させてしまうことに対するデメリットは非常に大きくなっている。
だけど、バグってのは、直せばよいのだ。簡単に言うなって言われそうだけど(笑)。
ライアーソフトは『CANNONBALL』で大いに懲り、それ以降、システム面を大幅に入れ替えた。(ただし、高度な麻雀プログラムである『じゃんまげ』の第一版はヒドかった…。)それ以後、根本的な部分でのバグは減った。
『LLE』ではスクリプトエラーによるフラグ立ての誤りが1件だけ(パッチ有り)。そして、『Forest』ではシステムそのものに冒険を仕掛けて見せた。まさに「物語そのものに合わせる形で」。(注:実は『Forest』には一箇所バグがある。でもそれは特定条件による再現性がわかっており回避可能。プレイ環境によって発生しないこともあるらしい。)『an epic』『AngelBullet』では当然のようにバグが無い。そして新作『SEVEN-BRIDGE』では、待望された「オートモード」を搭載する。
ライアーはもともと「使い易さ」に充分に気を使っているメーカーなので、バグさえ無くしてしまえば、システム的には高いレベルに位置すると思う。
おそらく、バグ嫌悪の流れは今まで以上に高まっていくだろう。そして、エロゲのシステム論は、「バグが無いこと」から一歩上の段階へ進むと思うのだ。その時、各エロゲメーカーが「作品の見せ方」をどのように考えているか、それによって明暗はくっきり分かれると思う。
 :
なんか単なるライアー擁護か?(笑)
未だに2chの月別スレで「ライアーはバグが恐い」というのを見ると、企業イメージって大事だと思いますね〜。
そして、こうした「前科」のあるメーカーに隠れて、未だにしょぼいバグを出す構造になっている昨今のメーカーは、たぶん淘汰されると思います。