以下、9791さんの話。

「アラン、君がいなくなって本当に寂しいよ」
                 アイルトン・セナ 1994年サンマリノGPフリー走行


前年に、彼の長年のライバル、アラン・プロストは引退していた。性格も走りもまるで対象的な二人。日本GPでの二年連続の接触に代表される確執。しかし、前年の最終戦・オーストラリアGP。ラストイヤーをワールドチャンピオンで飾ったプロストと、その最終戦プロストを下したセナ。二人は自然と、抱擁した。
そして翌年。セナはたった一人のワールドチャンピオン経験者になっていた。開幕戦・第二戦と、最速の証・ポールポジションを獲得。しかし、決勝レースでは連続リタイヤに終わる。そして第三戦・サンマリノGP。セナは、フリー走行で、無線を通して、TVのレポーターとして訪れていたプロストに、こう言ったという。*1

私だって真相は知りません。氏のBlog以上のことは知りません。
ですが、9791さんのこれまでの言動から、意図を「読む」なら。



9791さんの文章を「全部」読んだ数少ない(?)人間が、この私。私自身、ここまでBlogを読み続けた人は他にいませんし、ひいては氏以上に「知っている」人はなかなか居ないでしょう。
となると、氏が一時のネタであーいうことをやる人…だとはあまり思いませんでした*2
また、あの文章の「日付」は2006/4/1。これはネタかどうかということもさておき、わずか一ヶ月前に作ったのであれば、GWで旅行にでも行って不在になって自動的にあの文章が投稿されたとは考えにくいなあ、と。少なくとも、それが「投稿される」ということに意識はあるだろう、と。


次に書き込みを行なうタイミングとしては、3つある(あった)と思います。
①書き込み翌日(5/2) ②GW明け(5/8頃) ③1ヵ月後(6/2以降)

①なら一ヶ月遅れのエイプリルフールネタ、②ならGW期間中のネタってことになったんでしょうけど。もっとも、繰り返しますが、9791さんは一時の感情で動く人だとはあまり思っていなかったです。だから、①の可能性が消失した時点で、「これはマジだな」と。



この人は非常に気の利く人。そして、感情的にならない人。
だからこそ、この人は本音を吐かない。



9791さんの最後の記事。読み返すと実に興味深い書き込みです。


最後の最後で引用したのはこんな場面でした。

「人は悩みがある時、こだわりを脱ぎ捨てたい時、大きな存在の中に自分を置きたくなる。自分を無意味にしたくなる。不思議なものだ。果たして、今の恵もそうなのか。絹糸のように細い恵の髪が風に舞い散る。かき上げる手つき。胸の鼓動が一拍リズムを外す。『楽しかった』恵は眩しがるような微笑みで、遙かな過去を思い返すようについ先ほどのことを口にする。」
                  ―――鎖−クサリ−,2005 Leaf/AQUAPLUS

私は『鎖−クサリ−』をたぶん日本で最も褒めている人だと思います。
9791さんの引用したこの場面は、「事件が起こる前」の描写なのです。この作品の真髄の一つはここにあります。事件が起きる前から、恵というヒロインはその「影」を見せる。事件はそれを発現させるだけで、「恵の本質」を大きく変えはしないのです。それは…「元から在る」のです。





他でもないこの人のこと。判断は尊重する…というか、私の口の挟むことではないですね。判断の是非の前に、この人を信用しています。お疲れ様でした。



…まあ、読み間違いは覚悟の上で。それもまた善し。ひょっこり復帰したら、さすがにこの日の記述は削除するツモリです。

*1:そして、このGPがセナの最後のレースとなった。セナがあと半年待てたら、この結果は変わっていたのかもしれない。開幕戦・第二戦、そしてこのレースを圧勝したのは、ミハエル・シューマッハだったのだから。

*2:私ならともかく。4/1ネタを何にするかは数ヶ月前から考えていました(笑)。