明日書く(であろう)ことの前段として。

『Forest』(Liar-soft)の話。
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最終章「エピローグ」にて。
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いまのいま。
ここは新宿−
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黛薫。
教授に愛されれば他には何も要らないと言った少女は、こう言う。
ラピュタにて、クリスタルの中で夢を見ながら歌っていた少女は、こう言う。
「悪いんですけど、ボク、
歌でごはん食べる気ないんです。
やりたいこと、たくさんあるし。」
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いまのいま。
ここは新宿−
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刈谷真季。
[森]を最もリアリスティックに受け止めた彼女は、[森]から一つの存在を持ち帰った。
店と一人の男に仕えた彼女が、自分で店を開くという。
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いまのいま。
ここは新宿−
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九月周。
新宿ジャンキーの彼女が、実家に帰るという。
新宿無しには生きられないと言った彼女が、一時的とはいえ、そこを離れるという。
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いまのいま。
ここは新宿−
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雨森望。
誰よりも"現実"に打ち負かされ、"幸せな結末"を望んだ彼女は、今や、真っ直ぐに前を見据え、背筋を伸ばして歩いてゆく。アケルを、視界に入れながらも。
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いまのいま。
ここは新宿−
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城之崎灰流。
ただ一人、変わらなかった男。
ジャグラーの眼に表情が揺れる。
それは喜び。寂しさ。畏れ。
いずれともつかず、いずれもであり−−」
ジャグラーは、旅立ちを見送る者の
あの特有の表情で、しばし佇む。
やがて、きびすを返す。歩き出す。
けれどジャグラーの口元は、
引き締めても引き締めても、
こえきれぬ震えを浮かべてしまうのだ。」
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いまのいま。
ここは新宿−
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『Forest』の真髄は、この終章に在る。