当たらなくても別に構いはしませんが

しばらく新作の購入予定の無い私ですが、ちょっと新作に対する感想をば。

  • 『はるはろ』(propeller)

まだわかんないんですけど、もしかして、たくみん(荒川工)はこの作品で「一人称視点」を使わないツモリなんじゃないでしょうか。作品紹介を見てそう感じました。
たくみんの特徴は()を多用して内心を表現する独自の一人称視点だと思うんですが、あの主人公設定を見る限り、そんな気配がしないのです。むしろスタンダードな第三者視点になるのではないか。さいろー氏との共著になるようですし、その可能性が高いのではないかと。
これまでのキャラクター紹介は非常にイイ感じです。氏が新境地を開くことを期待しています。(もっとも、今まで通りのスタイルであっても微塵も問題はないのですが)

  • 『H2O』(枕)

枕は既に二年近く順延している『サクラノ詩』を2006年の発売予定とOHPでアナウンスし、代わって、噂されていた『H2O』を先にリリースすると発表しました。
…私が『サクラノ詩』にずっと期待しているのは、他でもない枕の母体・ケロQが、「メインヒロインを描けないブランド」であったからでした。『終ノ空』『二重影』『モエかん』の三作は、見事なまでにメインヒロインが主人公&脇役に喰われている作品です*1。トンデモ設定を力強さに代えて猛烈な勢いでねじ伏せるのがケロQらしさだと私は思っているのですが(笑)、その代償とでも言いますか。
それを、三作に共通する伝奇的設定を排除し、ヒロインを正面から・メインに描かせたらどうなるのか、私はそこに期待していたのです。ケロQに最も欠けていた部分にあえて別ブランドで踏み込んだ可能性に期待しているのです。
となると、『H2O』は、比較的中途半端な存在に映ります。ヒロイン中心という流れは継続的ですが*2、伝奇的設定の復活は、ある意味「ケロQっぽい」。むしろ、『H2O』は、『サクラノ詩』の180°転換路線に行き詰ったケロQにとっての「習作」的意味合いになるのではないかと勝手に予想してます。枕もといケロQが、『サクラノ詩』に行き詰ったのは、ある意味、必然だと思うんです。伝奇もバトルもふたなりも(笑)使わずに彼らは何を描けるのか、その過程として、『H2O』は一つの試金石になるのではないかと。

*1:私はこのうち二作に半期の「最悪主演女優賞」を与えています。

*2:ケロQ本体ブランドの『二重影』リメイク『陰と影』の方も、むしろ「枕」的なモノを目指しているのではないか。