『ToHeart2 XRATED』(Leaf)コンプ後メモ

私はよく、「萌えゲーには萌えゲーの描き方がある」と書いてきました。私が密かに思っていたのは、萌えゲーには、シナリオなんて必要ないんじゃないかと。(『Magistr Temple』のレビューが顕著。)
「萌え」って言葉は、非常に軽い言葉だと思うのですよ。批判ではないですが、「恋」や「愛」に比べると、若干、軽いんじゃないかと。その分、「純愛ゲー」となればシナリオが必要です。
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枕流氏が書いた(エンドロールでわかった)愛佳&由真シナリオが最も面白かったです。キャラクター造形に加え、枕流氏の緻密な内心設定は流石でした。
一方、姫百合姉妹・るーのシナリオは、意外と…と言っては失礼ですが「テーマ性」を与えてきました。基本線である男女恋愛の根本に触れるシナリオではないでしょうか。
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そして、今作で追加されたささらシナリオの内容はまさに『XRATED』。
「卒業」「いつまでも続かない平穏」「夢の結末」という、「終わり」と真の意味での「現実」を描こうとしているのはまさにこのシナリオ。そして、そう思い返すと、PSで発売された『ToHeart2』オリジナル部分に、現実を感じさせる設定と本当の意味で深刻な展開が欠如していることに気付きます。おそらく、これはわざと。そしてそれは、PS版の数ヶ月前に発売された『天使のいない12月』でやってしまったというのが正解ではないでしょうか?
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さて、本題はここからです。
この作品で私が最も「萌えた」ヒロインは誰か?
実は、このみとタマ姉です。
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おそらくその理由は、この二人のシナリオは、描写が非常に軽いからです。この二人のシナリオは、細部を読む必要がありません。なので、作品冒頭の二人の描写そのままに最後まで読んで行けばいい
その分人物描写でいけば、例えば愛佳&由真シナリオほどの「深み」はないんです。そこまでの「設定」を二人は持っていない。ですが、枕流氏の書いたこの二人のヒロインの場合、下手をすると、「第一印象を覆す」んですね。それをされると、「萌えられない」と感じることはありませんか?「作品を軽く読めない」んですよ、なにせ覆されることがありますから。逆に、そこまで深く読んで自分にとってハマったヒロインだと、私の場合、「萌え」って言葉のイメージからはちょっと越えてしまってるんですよね。
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その辺も含めて、私が今作で気になったのはライター間の方向性が意外とバラバラなんですよね。「濃度」が一致しないと思います。