それは新しい世界への架け橋

私が『あずまんが大王』の単行本を買ったのは発売されてからちょっと経ってからだった。あれは2002年の春の、黄砂がもの凄かった日。私がエロゲに手を出す、1ヶ月程前のことだった。
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私は今ではディープなエロゲヲタであるが(笑)、未だにアニメは見ない。いわゆる萌え系のマンガも買わない。エロゲーに手を出す前には普通にゲームをしていたが、プレステ2に加えドリキャスも所持していたにも関わらず、私はそれまでギャルゲーを買ったこともなかった。*1
そんな私ではあるが、『あずまんが大王』は持ってるし、名作だと思っている。
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このマンガ、外見とは裏腹に(?)、中身はすっごく王道で真面目。登場人物のキャラクターをとっても現実的に形作って、そんな登場人物たちを自由に走らせている。これは単純なことだけど、それが出来るヒトって本当に少ない。この作品で普通に「自分の学生時代」を思い出したりするし、登場人物間の関係の書き方なども非常に上手い。
最終巻でマヤーが出てきた時、ネットで「あずまんがは終わった」という声が上がったのを覚えている。確かに私的にもあの場面は余計だと思った。でもそれは、あの展開が「非日常」に踏み込みかけたから。つまりそれだけ、あの作品がそれまでずっと書いてきたモノが「日常」に他ならなかった証拠だと思う。
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で、私がこの作品の単行本を買った1ヵ月後にエロゲを初めて買ったのは、今から振り返ると偶然ではないと思う。
この『あずまんが大王』という作品は、それまで他の一般人と同じように*2「萌え系」のクオリティを甘く見ていた私に大きな影響を与えたんだと思う。ヲタ系文化への無批判な偏見を失った私は、この後『よくできました。』(Triangle)でエロゲデビューを果たす。そして、続く『サフィズムの舷窓』というキャラクター造形にかけては屈指の作品をプレイしたことで、私はこの世界へハマっていった。しかしそれに、私がそれまで触れてきた一般向けマンガ・ゲームとエロゲの「中間」に位置した(?)『あずまんが大王』という名作との出会いは、大きな意味があったんだと、今更ながら思うのである。
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ちなみに私はよみが一番好きです(笑)

*1:ちなみに、私がコンシューマで買ったギャルゲーは『Ever17』ただ一作である。これはまさに「ギャルゲー」としての期待を持って買ったのだが(笑)、実はソレとは全然違う方向性の名作であったことは皆さんご存知の通りだ。

*2:失礼だが、三年半前までどノーマルだった私の記憶からすればそんなモノだ。