エロゲメーカーの企業イメージ

天使のいない12月』(Leaf)を再プレイ。結局、真帆シナリオを除いて、透子→しのぶ→明日菜→雪緒と、大半をプレイすることになった。
いやあ、改めて、素晴らしいね。
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たぶん、この作品はそんなに売れなかったんだろう。中古市場でもよく見かける。しかし、Leafの企業戦略としての意義は大きかったんじゃなかろうか?
アクアプラスは『TH2』のコンシューマでの発売、そして18禁過去作品のコンシューマ化を進めている。エロゲーマーにとって、この全年齢対象化は「逃げ」に見えることがあるのだ。『CLANNAD』の例が顕著だが、より市場の大きい所へ打って出る為の踏み台みたいに見えるから。もちろん、エロ自体の弱体化にも繋がるし。
だがLeafはその声を、『天使』一作品で打ち消せるような気がする。プレイして改めて思ったが、この作品自体のエロ描写が相当に濃いこともそうだが、シチュエーションも含めて「エロゲであることの清濁さ」を高らかに示したと言えるのではないか。
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これから、アクアプラスのコンシューマ作品を購入したユーザーは、それが元々エロゲであったことを知るだろう。そして元の18禁作品を手に取ることがあるだろう。そして、グラフィック・BGM等で抜群の完成度を誇るこの『天使』が、「コンシューマ化されていない」ことを知るだろう。そこに、かえって興味を惹かれるのではないか?そしてついにこの『天使』を手に取ったとき、エロゲの奥の深さを思い知るような気がするのだ。
そう考えると、Leafはもうどんな作品でも作れる。もっとも、次作『鎖』を出すあたり、彼らのモチベーションはまだまだ尽きないようだが。
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正直言って、XP以後、エロゲのグラフィックとかシステムやゲーム構造は、進化の度合いが弱まったような気がする。そんなに際立った新ジャンル等の確立は見受けられない。せいぜい、DVDメディアにより大容量化されたくらいではないか?だからこそ、大枠の中で、シナリオ・原画といったソフト面での競争となっている。
そして、そんな中で年に数作のエロゲを作ってゆけば、当然、同じような作品を毎年出すようになるブランドが少なくない。だが、こんな時代の中で、「如何に自社ブランド内作品の差別化を図るか」は重要な問題ではないか?
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それが最も顕著に見えるのが、ニトロプラスのような気がする。以下、私はここの作品をそんなにプレイしていない前提での話だが、『沙耶の唄』がニトロの転機だったような気がするのだ。あの作品、外見は「異様」である。プレイ前は、「ニトロがこんな作品を作るなんて」って驚きがそれなりに大きかったのだ。だが、実際にプレイしてみると、結局はバトルを基調としたいつものニトロ作品。プレイ後の印象としては一緒。
結局、『Phantom』からニトロは「何も変わってない」ような気がする。そこで一石を投じようとしたのが『天使ノ二挺拳銃』だったのかもしれないが、タイトル自体に「拳銃」なんていつものニトロ調のネタを持ってくるあたりが中途半端だったのかも。そして最新作『塵骸魔京』。これでまた「いつものニトロ調」へ回帰しようとしたが…さすがに+αが無いと飽きられてきた…って感じのような気がする。ま、中央東口氏を引き抜いたpropellerの対抗策に見事にヤられたってこともあるだろうけど…。
(以上、ニトロ儲ではない部外者の雑感)
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長くなったけど、そう考えれば、Leafが『天使』を作ったことは大きいと思う。だって、彼らは、もう好きなように「恋愛」を描ける。「究極」は描いてしまったから。「それを踏まえた上で」、甘い恋愛を描ける。
尖った作品というのは、ラインナップの中に一つは欲しい。そして、それ自体が面白くなくても、それは必ず後で生きてくると思う。
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ま、それを言うとライアーソフトの上に来る所は無いか。