ライブドア騒動・傍論

巷で話題のライブドア騒動について。ちなみに私は、それほどこの問題に深入りして興味を持っているワケでもありません。傍観者の雑感と思っていただければ結構です。
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「既存メディアとインターネットの融合」と、堀江社長は説いているとか。彼が果たして本気なのかはわかりません。もしかしたら彼の興味は単にM&Aによる資産の拡大なのかもしれません。
今の私の感覚としては、「その方がマシ」なような気がするのです。彼が本気で「既存メディアとインターネットの融合」に価値を見い出しているのなら、彼の感覚には疑問を抱きます。
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というのもですね、私はテレビ番組をロクに見なくなって久しい人間なんです。もともと私はネットに出会う前からあまりテレビを見ない人間でした。一人暮らしで、何もないとしーんとするのでチャンネルだけはつけてますが、変なバラエティ番組ならCMの方がマシに思える時も多いのです。基本はNHKです。下手をすると、常に消音状態に置くことがあります。
また、私は車を持ってますが、車中で聴くのは99%がMDです。ラジオを聴くことはまずありません。
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私は思うんですけどね、テレビ局って、CSを除けば、地上波民放6局・NHKが衛星を含め4局しかないんですよ。ラジオも大差ありません。私達は、日本国民一億二千万人向けに作られた番組のうちから、せいぜい1/10を選択して見ることになります。つまり、一千二百万人が見るような番組なんですね。
ところが、2chには、今数えようとしたんですが挫折したくらいの数百の板があり、それぞれの板にさらに数百のスレがあります。私がこの中で見るのは、エロゲ板・工作板・葱板の三本柱はもちろん(笑)ですが、あとはモータースポーツ板と私の仕事に関係する板だけを見ます。もちろん数百のスレの全てに目を通すのではなく、厳選したいくつかのブックマークだけを見ているわけです。割合でいけば1/1000を軽く下回り、下手をすると1/10000単位です。そこまでこの私と同じ趣味を持っている人は、日本全国でもそれほど多くないはずです。それは逆に言えば、それくらい厳選された「話の合う人」なワケです。
どちらが面白いか?言うまでもないでしょう。
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ネットで表現できるモノは、とてもテレビでは表せないモノだと私は思っています。
そもそも、この私がこうやって書いている文章が見も知らぬヒトに読まれているという事自体が、素晴らしくトンデモないことだとは思いませんか?このサイトは、世間ではまだまだまだマイナーなエロゲというジャンルに足を踏み入れ、そしてある程度感性が一致しないと読めないでしょうからねえ。
そして私は、同じくらいクセのあるサイトをたくさん覗いているつもりです。
当たり前ですが、テレビ・ラジオとは方向性が全く逆です。発信する側は、ただひたすら自分の書きたいことを書き連ねていきますし、受信する方は、ただひたすら自分の読みたいことを探してゆきます。その主体性は、ただリモコン片手にテレビ欄を眺めていればよいテレビのそれとは比べ物にならないと思うのですよ。
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で、「ネットとメディアの融合」にどんな意味があるんでしょう?
よくあるんですが、テレビ局がウェブサイトを開くことは、ネットとの融合でも何でもありません。それこそ、とても既存の放送枠では収まりきらない内容がそこにあるワケではないのですから。しかも結局、「彼らが一方的に情報を発信するだけ」です。「受け手」はそこまでテレビ局のウェブサイトに期待してないでしょう。ネットコンテンツに必要なのは、あの程度の「濃さ」ではないはずです。
では、ネットの方がメディアに近付くんですか?ネットはそれこそ好き勝手だからこそ、これだけの多様性を備えてるんです。それが放送「枠」に収まったら、その時点でその独自性は失われると思います。おそらくそれは、倫理的な意味からも言えることでしょう。ネットは良くも悪くも民主主義ですからね〜。
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繰り返しますが、ライブドアというBlogの旗手を所持している堀江社長が「ネットとメディアの融合」と思う感覚が私には理解しかねます。
新聞・テレビという大手既存メディアは言わゆる「世論」(括弧つきの意味で)を知るために必要ですが、あと細かいことはネットでどーこうするというのが、これからの主流になると思うのですが、どうでしょうか?新聞・テレビの価値観が正しいというのは一昔前の妄想ですし、堀江社長のいまさらそこへ入り込んでいく意欲はやはり理解しかねます。繰り返しますが、堀江社長が本心から金のために動いているのなら、まだしも理解できるのですけどね。