向こう側の最高傑作の話

マンガを購入しました。北道正幸『プーねこ』。
つうか北道センセイ…いくらなんでも自分のBlogにくらい単行本発売について書きましょうよ…。今日まで発売を知りませんでした。
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私は一昔前(極言すれば、エロゲにハマる前)、マンガにやたら熱中したコトがある。数々の作品を読んで、感想サイトまで立ち上げたのだが、その中で最も面白かった作品を挙げるなら、この北道正幸の『スカタン野郎』『スカタン天国(パラダイス)』、この二部作だと、胸を張って言える。私の中では「スカパラ」と言えば否応無くこれを差す。
まずは、ギャグがすごい。ぶっ飛んだキャラクター設定とぶっ飛んだ展開もさることながら、着ぐるみのバリエーションは神(笑)。
作画は業界最高水準に上手い。「同じ顔で全く異なる表情を描ける」、これがこの作品を一歩上のレベルに押し上げる所以だと思う。
そして、ギャグと同時にシリアスを描ける抜群のセンス。何気なーく、さらっと日常の中に「真面目」なシーンを語る様に何度ヤられたことか。特に、『天国』第8話「女の子」は史上最高傑作のお話だと思う。
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こう書くと、私が北道氏の作品に見たモノが、他でもないライアーソフトに見たモノと実によく似ていることに気がつく。結局私が求めているのは、いつの時代も「コメディとシリアスの融合」なんだ、と。
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北道氏は、この『スカタン野郎』『スカタン天国(パラダイス)』の後、同じアフタヌーン上の『ぽちょむきん』で連載を再会した。
これは、『野郎』『天国』が一話完結型だったのに対し、順を追ったストーリーを持つ(とは言っても横道に逸れまくるのが彼の持ち味なのだがw)作品である。
これも独特のセンスは健在で面白い。
だが、この『ぽちょむきん』は4巻発刊後、しばらく休載が続き、そして至極強引な形で幕を閉じることになった。北道氏のHPを常に見続けてきた身としては、氏が苦しんでいる様が垣間見えたので心配だったのだが、こうして連載を(短短編ではあるが)再開できたのは素直に喜ぼう。そして同時に、『ぽちょむきん』の5巻が出ないまま今日に至ることは素直に残念だと言っておきたい。
氏のBlogを見れば、まだまだ「描く気」は存分にあるみたいなので、次を心待ちにしております。
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この『プーねこ』は、『スカタン野郎』『スカタン天国』ならびに『ぽちょむきん』の行間に掲載されていた四コママンガ集。
私はこの四コマよりも作品本編の方がずっと好きなので何とも言えないところなんですが、気が向いたら是非読んでみてください。
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PS
『プーねこ』の話間に「北道正幸随想録」との一文があるが(アフタ本誌の作者近況欄らしい)、其の四(2004年4月)にこんな記述がある。

遊ぶ金ほしさに、長者番付を見て自分も、
漫画家になってみたものの、
さっぱり人気が上がらず、
ついカッとなって、おっぱいポロリを描いたら、
下半身もポロれと担当に詰め寄られ、
怖くなって逃げた。

これ…『ぽちょむきん』を読んでた身としては、本当に笑えないんですけど…。