浮いている

エロゲにおける最適な攻略可能ヒロイン数は何人か?もちろんエロゲーマーによって全く異なる答えだろうが、私の答えは決まっている。「一人」と。
なんでエロゲって、こんなにマルチヒロインにこだわるんだろう?正統派のメインヒロイン+勝ち気系+気弱系+妹系…って感じで、大多数のエロゲはお決まりのパターンの登場人物をあらかた揃えている。
もちろん、リスク回避の意味合いが強かろう。一人に絞って彼女が「外した」日には目も当てられないから。でも、完全に並行的な立場で複数の世界を並べてしまうのは、「ストーリー」を読み取ろうとするとマイナスにしか思えない。これは私がこれまでのレビューの中で何度も書いてきたことだけど。
もっともっとヒロインにバイアスをかけて、作品全体を歪めた様な作品が増えれば、より「名作」と思える作品が増えると思うのだが…反面、とても手を出そうともしない作品も増えるだろうな(笑)。ただ正直、「もう良作はいらない」ってのは本心。ヒロインに「順序」の無い作品は、大抵が「良作止まり」。ヒロインの一人が良くても、他のヒロインの中に「必ず今一つのヒロインがいるから」。絶対に突き抜けない。
 :
私の名作(S)以上のラインナップの中で、一つだけ「浮いた」な作品があるとは思わないだろうか?
自分で思うそれは、『パティシエなにゃんこ』(ぱじゃまそふと)。
この作品、完全な並行ヒロインである。シナリオも全くもって並行世界。だもんで、「物語」はこれっぽっちも「結末」を迎えないまま幕を閉じる。それゆえ、二次創作たる「ドラマCD」も既に二本制作されている。
普通なら…私が拒否反応を起こすタイプの作品。
なんだけど…私はこの作品のレビューを見ればわかるように、その「並行性」を評価してたりする。そう、この作品は「並行」の究極の形だと思うのだ。
とにかく五人とも「濃い」。ケーキ屋という舞台の中で与えられる「役割」が見事なまでに重複せず、性格の描き分けも見事。さらに、ヒロインのシナリオではさらにその奥に隠された表情が見える上手さ。意図的にちょっと引いて書かれる亜理咲はドラマCDでそれが「個性」になってたりするし(笑)、茉理が他ヒロインのシナリオで輝くのはレビューの通り(さらに、ドラマCD2はまさに「彼女のための物語」)。
結局、「平行性のマイナスが無い」のだ、この作品の描写には。
ただし、そう感じさせてくれた作品はコレ一作だけである。これなら…誰かヒロインの一人を「メイン」として描く方が、まだ簡単なのかもしれない。
 :
さて、『パティシエなにゃんこ』を持っている人は、明日は必ず起動しましょうね?