エロゲーマーである前に

「ホットライン運用ガイドライン」等に対する意見の募集について
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私はだいぶ前にこんなこと(昔の拙い文章なので注意)を書いたことがあって、今も基本的に立場は変わらないのです。
エロゲ存続の危機ってのも大きな問題かもしれませんが、それ以前に一人の市民として、児ポル法の基本姿勢を否定することはできんのですよ。そりゃ、エロゲが消滅したら困りますが(笑)、その為に他のモノを犠牲にするつもりもないのですよ。
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まず根本的な問題として、私は、少なくとも、実写の児童ポルノが地球上に存在すべきかと問われたら「No」と答えます。
そして、二次元創作物の有害性を問われると、実写ほどではないですが、やはりゼロとは言い難い。実写と違って、「撮られる少女の保護」の必要性は薄いですが、「見る側の倫理観の問題」という面では何も変わらないです。それに加えて、「二次元エロ画を見る人間」を気持ち悪がる一般人の心境は、エロゲーマーである私の身からもまるきし理解できないワケでもないのですよ。ましてや、人類の半分…女性にとって決して快いモノでないことは誰でも想像が付くはずです。*1
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創作物のポルノ性を如何に判断するかは二つの方法しかないでしょう。

  1. 外形主義:対象が18歳以下に見えるかどうかを問題とする。この場合、対象が設定上18歳以上だとかアンドロイドだとかを問わない。
  2. 設定主義:対象の設定が18歳以下かどうかを問題とする。この場合、どんなに外形がロリであっても、18歳以上であったり人間以外の存在と判断する合理的な理由があれば、対象にはならないだろう。

で、問題は、どっちを取っても抜け道があること。エロゲには、「そんなでかい乳した高校生はいない」っていうヒロインもいるし、「そんなにロリな社会人はいない」っていうヒロインもいる(笑)。創作物は創作物ゆえに、あまりにクリエイティブです。
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今回の運用ガイドラインを見る限り、エロゲーマーにとって引っかかるのは第3-3(2)②でしょうか。これ、前項は先の外形主義*2で、後項は設定主義なんですね。どちらも対象にしてます。
でも、ぶっちゃけ、どっちかだけでいいと思いますか?それだと、この法律は無意味じゃないですか?
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私の正直な印象として、エロゲに関して言えば、物事の根本はソフ倫の自主規制機能の低下なんじゃないかと思います。
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これは出版とかどんな業界でもそうだと思いますが、民主主義を謳う日本社会において、私人による自浄機能が働いている限り、官憲は口を出してきません。
エロゲにおいて、何の法的拘束力も持たないはずのソフ倫(またはメディ倫)を通さないとエロゲを販売できない理由は、この自浄努力の確認が出来ないからという建前です。それらは、官憲が一つ一つ目を通していかなきゃならない。
もちろん、官憲にとってもそのコストは大きいですから、メリットはあるはずです。
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で、今のソフ倫はどうなんでしょうか。
私には、今のソフ倫は倫理観を守ろうとしているとは思えないんです。単なるエロゲ発売の通過儀礼…というか免罪符的な存在になっている。それでは…世間に自らの信用を主張するには弱い。
早い話が、今規制されようとしている、「18歳以上の設定なのにどう見ても18歳以上には見えない」ヒロインなんて、本来はソフ倫が潰すべきモノなのではないでしょうか?どう見ても舞台が高校にしか見えないエロゲは後を絶ちません。しかも、そこに通う学生が平気で酒盛りしたりもします。
実妹エロも許可するようになりました。それが現実的に認められるモノでないことは自明です。法律で禁止されていないことを理由に認めるのであれば、倫理機構としての意味は何処にあるんでしょうか。
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もちろん、エロゲの魅力の一つは非倫理性です(爆)。
ですが、それを、正面切って「正しいか」と問われると、やっぱり「正しい」とは言えないのですよ。それを声高に言ってしまうほど、私は世間との縁を切ったつもりも無く…。
二次元に限らず児童ポルノの存在そのものを認めるべきと主張する人ならばともかく、児童ポルノの有害性に理解が及ぶのであれば、それとどこかで折り合いをつけなきゃならいんじゃないかなあ…と思うんです。
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ちなみにこのガイドライン児ポル法の解釈に何らの影響を及ぼすモノではないですよ。それは今までと何も変わらない。ただ、それをネット上でどう扱うかだけの話じゃないですか。
逆に言うと、「自浄作用」が利かなくなってきたからこそ、こうやって権力でもって浄化作用をもたらさなければならなくなってきたワケですよ。今までは「我慢」されていたモノが、されなくなってきている。それは各絵師の個人サイトなんかにも言えることではないでしょうか。
そう考えると、しょうがないのかな…って気はするんですよね。
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傍目には、エロゲーマーがエロゲーをプレイしたいがためにただ法律に反対するのって、非常に説得力が無いばかりか、逆効果だと思います。
児童ポルノは存在が許されるべきなのか。その根本の保護法益を踏まえて、価値の軽重の話をしないと。

*1:「エロが巷に溢れているから逆に日本は性犯罪率が低い」って言い分は納得しかねます。別問題。我慢できなくなった人間が性犯罪に走るか、性犯罪に走らないまでも多くの人間が広く薄く汚れてるかの違いだけではないでしょうか。そもそもの「理想」は、「誰もポルノを望まない世界」であって、その意識付けとして作る倫理の意味もあるんでしょうし。

*2:逆に、どうしてこのガイドラインが「小学生」という言葉を使っているのか疑問。対象は18歳以下のはずで、そりゃあ小学生に見えたら明らかに違法っぽいですけど、そういう問題じゃないですよねえ。