『ひぐらしのなく頃に解・罪滅し編』レビュー

http://www.geocities.jp/judge13th/o18/higurasi6.html
すっごく難儀したレビューになりました。最近は、やったらウダウダ考える系の作品(笑)ばっかりやっていたので…そういう作品って文章書こうと思えば、いくらでも書けるんですよね。それらと比べると、もっとシンプルに「物語」を作り上げた「罪滅し編」の評価は、かえって難しいんですよ。
以下、ネタバレあり。『腐り姫』と『Ever17』についても。
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褒めすぎですかね?
とりあえず、私、非常に外形的なところしか書いてないですね。そういう意味で珍しいですかねえ。
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ポジション的に難しいところの作品だとは思います。『腐り姫』に似ていると書きましたが、それは、『腐り姫』がいきなり超宇宙的存在へと吹っ飛ぶことを踏まえての話です。そして誤解を恐れずに言えば、この「罪滅し編」は「赤い婚礼」なんですね。今のところの印象としては、「クライマックス」と書いた通り、ここが最高到達点ではないかと思います。
これは「目明し編」で感じたことですが、私は、この「ひぐらしのなく頃に」という作品群が、サスペンスとか推理である必要はないと思ってるんです。『Ever17』である必要はないと思います。この「罪滅し編」で、細かい事柄を、全てレナを追い込む方向性に揃えて見せました。こうやって、伏線回収を言わば「技術的に」図ることは可能だと思うんです。でもそれ自体にそんなに意味はないんじゃないかとも、思うんです。
むしろ、この「雛見沢村連続殺人事件」という「物語」を如何に見せるか、それの最も良い形(に近い)ものが、この「罪滅し編」となったんじゃないかと。伏線なんてのは、物語を映えさせるタメにあるものであって、伏線を回収することが即「物語」だなんて思わなくなりました。
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さて、私は「もしかしてコレで完結するのか」とすら思いましたが、最後のTIPSを見ればわかるように、最も「根源」の部分をこれから描くようです。
私が一つ心配しているのは、「蛇足」にならないかということです。描くべき物語は何なのか、これ以上語るべき物語が存在するのか、そこを間違えるとそれは蛇足になります。私は「切り捨てる」のも一つの手だと考える方ですので…。
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さて、私のプレイするエロゲの偏りなのかもしれませんが、最近、単純なマルチエンドという形が減ってきたように思えます。私は何度か書いていますが、エロゲ・ギャルゲに最も特徴的な構成の一つがこの「同時並行的なエンドを持つシナリオ」だと思います。「Aルート攻略→はじめから→Bルート攻略→はじめから→Cルート攻略(※A〜Cは順不同)」みたいな感じの。
それが最近、「並行的なエンドがいくつか在ることに意味を持たせる」作品が増えたんじゃないかと。(もっとも、それは私が最近「ヒロイン攻略」的なエロゲをやってないからでしょうか?)
ひぐらし』はいつの間にかメディアミックスまで果たし、あろうことか(失礼)アニメ化までされるようです。改めて『ひぐらし』の製作過程における構想段階の強さを思い知った私は、こうだからこそ「商売」となるうるんだろうなーと思うのですが(今後の筋が決まってない浮遊状態のモノを商売にはしないと思う)、そもそもアニメでこの「罪滅し編」を書けるんでしょうか?ちょっと相性の悪さは感じます。
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最後にあの「熱さ」は、別にあのノリが書きたかったワケじゃなく、あれ自体に意味を持たせたシーンだと思います。登場人物がもともと精神年齢が低いこともあるんですが、この作品、意外と(と言っては失礼か)「健全」な作品なんですよね。